うさぎになる、夢を見た。


尻尾が生えて、耳が生えて。
はやく家に辿り着いて、お風呂に入らないとどんどんうさぎになってしまう。

何の魔法か、それとも呪いか。

夜の道、線路を渡って、畑の中へ。
野菜の迷路、落とし穴。

家を目指して走るのに、行く手は数多の障りがあって。

触った口元に、ピンとしたヒゲが生えて。
だんだん白い毛に覆われて行く。
転がり落ちた土手の下。
朝の匂いの草を掴んで、目が覚めた。


お風呂の中で目を閉じて、夢の続きを探しに行く。
私の魔法は解けたけど、一緒に逃げてたアリスはどうなっただろう。

青いドレスのアリス。
落ちた穴から、引っ張り上げてくれたアリス。

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ほんとうの名前を聞いたはずなのに、夢から醒めたらもう思い出せない。


ときどき、こんな夢を見る。
物語仕立ての、一夜の夢物語。

途中で醒めてしまった物語の続きは、どこへ消えてしまうのか。

夢のひとひら。
落ちた花弁は戻らない。


駆け抜けた線路の砂利や、掴んだ土の感触だけが、ありもしない現実味を伴って。

それからアリス。
握った貴女のてのひらを、確かに私は覚えてる。

夜を何度繰り返しても、同じ夢は見られない。
万華鏡のような、一期一会の花模様。

落ちた花弁は、どこへ行く?


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