8月も今日でおしまい。

一年で一番、命の色が濃くて。
一年で一番、死を悼む日が多くて。

強い日差しと、その影のように。

台風一過で、晴れ渡った空で良かった。
この最後の1日が、夏の日で良かった。


いつ書こうかと、書かなきゃと思いながら延ばしてきた事だけど。
8月の終わりに置いていこう。

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私の大好きな人の、追悼の日。

今年活動30周年を迎えたばかりだった、プログレアーティスト。
7月に急逝した、ZABADAKの吉良さん。

ZABADAK自体は有名というほどでは無いけど、アニメ十二国記のEDや狼と香辛料の曲の作詞作曲、NHKの番組やCMソングも手がけていたので、実は曲を聴いた事はあるかも知れません。


8月7日にサンシャイン劇場で、お別れ会がありました。

800席は1日でsold outして、私もギリギリ二階席の後ろの方をキープ。
(発売時間を勘違いしていて、30分出遅れただけでこの有様です)

でも結果的には、良い席でした。
理由は後ほど。


サンシャイン劇場は有名な劇団キャラメルボックスが公演期間中でしたが、キャラメルボックスにも多くの曲を提供していたご縁で、お別れ会に劇場を急遽用意してくれたとの事でした。

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場所の都合で献花が出来ないという事で、代わりに『献音』の用意がありました。

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この楽器はトーンチャイム、と言うそう。
振ると、なんとも言えない清らかで沁みる美しい音が響きます。

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吉良さんの遺影に向けて、献音します。
私は『ラ』の音を。


周りには、吉良さんの遺品が色々展示されています。

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ギターに、足鈴。
初めてのコンサートでは、急いだ吉良さんが脱ぎ捨てたこの鈴が廊下に無造作に置いてあって笑ってしまったっけ。

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虫が好きだった吉良さんの、標本箱。
亡くなる数日前も、クワガタ捕りではしゃいでいたっけ。
虫捕りに山梨に良く来られていたそうで、長坂や穴山の話をされていたなぁ。

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衣装のシャツは、私も見覚えがあるものが。
30周年のライブで倒れて救急車に運ばれた時着ていたシャツを、全国ツアーの最終日に着てやり遂げたからもう大丈夫、って笑っていたのにね。

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慌てて撮ったのでブレてしまった、直筆の楽譜。
ZABADAKに出逢って20年。
20年、欠かさず聴き続けた。


時間が迫っているので、急かされて劇場へ。
二階席の遠さにゼーゼーしながら、やっと階段を登り切って着席しました。


最初は入れなかった人たちのためにモニターで外でも見られるようにする、との事だったのですが、様々な利権関係で中止になってしまったとのこと。

それも仕方ないな、と思えるほどに。


お別れ会は、関係者の方々のトークで進んでいきます。
入れ替わり立ち替わり、登場するゲストの方々はミュージシャンに裏方さんに、女優、俳優、物理学者…

余りに多岐に渡りすぎるのと、私でさえ思わず「おおっ」と声が出てしまう面々まで。

カメラは入っていたので何らかの形にはなるとは思うのですが、様々な権利関係をクリアするまでかかりそうです。


しんみりした会にしたくない、と言う吉良さんの奥さんにしてZABADAKのパートナー小峰さんの希望から、トークショーは和やかに笑いを交えて進みました。
それでも、思わず潤んでしまう瞬間はあったけれど。


後半は、合唱。
ステージの画面に歌詞を出し、客席全員でZABADAKの歌を歌います。

一曲目、潤みそうになる目を堪えて歌い。
二曲目、耐えられずハンカチを取り出し。

そして三曲目。
ZABADAKの中でも一番人気と言われる『遠い音楽』。



歌い出すと、壇上の小峰さんが客席に手招きを。

『まさか』の予感はそのまま的中し、手をとられ登壇したのは小峰さんの前、かつてZABADAKの歌姫で、今でも絶大な人気を誇る上野洋子さん。

『遠い音楽』も最初に歌っていたのは、上野さんでした。



涙がこぼれ落ちる私。
隣の席の女の子は、崩れ落ちて突っ伏していました。

トークショーの時点でいらっしゃらなかったので、暖簾分けしたからもう関わらないと言う事なのかと淋しく思っていた後だったので尚更のサプライズでした。

泣きながら、それでも声を上げて歌いました。
届くように、届くように。


最後の曲は、ZABADAK名物。
リコーダーや、アンデスと言う楽器を持参したファンが客席から参加できる『ポーランド』。



イントロが始まるなり、カバンの中から楽器を取り出す客席の『風部』と呼ばれる人達。

二階席だったお陰で、それが見渡す事ができたのはラッキーでした。


一糸乱れぬリコーダーパート。
私は吹けないけれど、いつか混ざりたいと思って海外通販までして買ったティンホイッスルを握りしめていました。

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『吹いたつもり』参加で(笑)


一番が終わった頃、小峰さんが一階席の風部の皆さんをステージに呼びます。
中にはバイオリンの人もいて吃驚!

降りていけない二階席の人も含めたら、50人ほどいたのではないのでしょうか。

圧巻でした。


会場全体が一体になって、吉良さんの音楽を奏でて。
大きな拍手て幕を閉じたお別れ会。

きっと吉良さんもそこにいて、にやにやしながらギターを弾いていたんじゃないかな。


お別れ会のタイトルが『かたみわけ』だったのですが、参加者には本当に『かたみわけ』がありました。

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『音』と言う曲の、マスターテープ。
それを参加者分切り分けて、配ってくれました。

そして吉良さんのサインの入ったポストカード。
裏には、小峰さんのコメントが。

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きっと私が生きている間、ずっと。
響き続けると思います。


子供の頃に出会って、大人になって。
いくつになっても、いつになっても。

色褪せず、それは奏で続けられる天上の音楽。

宇宙の、おと。

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