良い事と、悪い事は、プラマイゼロだっていつの頃からか、信じてた。

だから悪い事があったら次は良い事があるって前を向けたりもしたし、良い事があったらいつ落とし穴があるのか怯えもした。

人生万事、塞翁が馬とは言うけれど。


本当に、そうだろうか?
そんなに上手く、差し引きゼロになるんだろうか?

どんなに雨が降ったとしても、いつか空は晴れる日が来る。
台風一過の空は青い。

けれど、心地よい春の木漏れ日の中で、次に来る嵐に怯えるのと、それはどう違う?


苦難を乗り越えなければ、ハッピーエンドは迎えられないのだろうか。
幸せな人生を送った人は、バッドエンドを迎えるのだろうか。

人生は本当に、プラマイゼロなのだろうか?


我慢して苦労したら、幸せが来るって信じていませんか?
つらい事を耐え忍ぶのを、努力だと取り違えてはいませんか?

それは本当に、あなたにとってプラスなこと?
そのマイナスは、本当に次のプラスに繋がること?


誰だって幸せになりたいはずなのに、同じだけの不幸を背負わなければならない呪いを、いつのまにか受けてはいないだろうか?


うまい話には裏があったり、勝って兜の緒を締めなければならなかったり、良い事ばかりで生きていける世界では無いけれど。

その因果に縛り付けられて、幸せのために不幸を握りしめてはいないだろうか。


努力は尊く、素晴らしいことだけど。

苦労する事を努力だといつの間にか履き違えて、苦しむ事を幸せのためだと我慢してはいないだろうか。

不幸を尊さに置き換えたなら、それは確かにプラマイゼロ。
それはとても、不毛なことだ。

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幸せの青い鳥はいつだって、本当はすぐそこにいるのに。
空っぽの鳥籠を抱き締めてみても、そこには何も入っていない。


不幸を握りしめて、安心していないだろうか。
幸せを受け止めて、不安になってはいないだろうか。

幸福も不幸もいつかゼロになる人生ならば、どちらにも価値なんてきっと無い。


人生って本当にプラマイゼロ?