西洋骨董が大好きです。
南仏の蚤の市で掘り起こされた、ホーリーカードに葉巻の札紙。
真珠貝のブローチや、聖遺物の入ったロザリオ。
幻灯機のフィルムや指輪。
それから誰かの出した、古い古いポストカード。
本当は全部欲しいけど、宝物は選んで選んで、少しだけ。
私が年に一度、足を延ばすのは長野の東。
浅間山の近くにある、西洋アンティーク専門店『メルキュール骨董店』さん。
西洋骨董蒐集家の聖地ですね。
もうちょっとご近所ならなぁ、と思ったりもするけれど、迂闊にモノを増やさないためにもこのくらいの距離が丁度良いのかも。
いつか誰かが新年を言い訳にして、誰かの記憶の鈴を鳴らしたのかも。
それがいつしか巡りにめぐって、こんな東の島国へ。
手にした私は、そんな『いつか』を夢想する。
海を渡った骨董品も、そんな『いつか』の夢を見たりするのかな。
インクの宛名、確かにあったいつかのあの日。
勿忘草は空の色。
旅路は過去へ。
色褪せた、切符代わりの骨董品。
きっとまた、私はそれを手に取ってしまうのでしょう。
観覧車のてっぺんは、勿忘草と同じ色。