晴れた森の日冬の色が、薄まり始めた森の中。青空に広げた手のひらのような枝の下へ、ふらりと散歩に出てみました。雪の溶けた足元は、秋に積もった落ち葉のクッション。ドングリと松ぼっくり、過ぎた秋の日の落し物。春は日増しに濃くなって、命の匂いが地中から沸き立つような。雪の少ない今年はそれがいつもより早いから、なんだか急かされるような気分で。まだもう少し、冬に包まれて眠っていたかった。そんな気持ちもどこかにあって。でもきっと、ここはもう春の入り口。春眠暁を覚えずなのか、それとも冬眠が明け切らないのか。なんだか重い瞼の裏側で、いつかのあの日の夢を見る。大事に隠した、宝物の夢。でも眠い目をこすったら、もう起きなくちゃ。まだ走り出すには早いけど。背伸びをしたら、ほら小さな春の訪れ。欠伸をしたら、歩き出そう。