昔、図書館の本には、貸し出しカードがありましたよね。
『耳をすませば』の映画にも出てくる、本ごとにこれまでに借りた人の名前が記名されているカード。
最近は個人情報の保護の観点からも、そのような形態は無くなっています。
私の利用している図書館も、今はバーコード式。
その日借りた本は一覧になって、レシート状になって発行されます。
前に借りた人の情報は、図書館の端末の中にしか残りません。
『耳をすませば』の映画では昔ながらのスタイルの図書館で、主人公の女の子が自分の借りる本の貸し出しカードにいつも同じ名前がある事に気付きます。
自分の前にその本を借りていた人。
何度もそれが続いたら、その人のことが気になりますよね。
同じ本を読んでる、知らない人。
先日借りた小説のページの間から、貸し出しレシートが出てきました。
前に借りた誰かが、しおり代わりに使って忘れたんでしょうか。
同じ本を読んでいた、知らない誰かの思い掛けない足跡。
どこの誰かも分からないけど、同じ本を借りた人。
昔のように、それが誰かを探すことはできません。
だけど片時、同じものを見つめた人。
ヘンゼルが落としたパンくずは、懐かしい場所への道しるべ。
この本を読み終わったら、次はここにある本を探してみようかな。