『光輝くもの』
人々は皆 丘の上にいた。
それぞれが様々な想いを抱え、遠くの空を見上げていた。
「夢は夢のままの方がいい」と誰かが言う。
「執着しているものを手放すことが怖いのだ」と誰かが泣く。
そこへ流れ星が彼らの頭上を通り過ぎて行った。
誰かが「何て美しい光なの?きっとあの光は私の願いを叶えてくれる」と言った。
するとそこを通りかかった旅人が穏やかな声で問いかけた。
「確かにあの光は素晴らしい。あの星が私たちの心をとらえる理由がわかるかい?あの星が君の心に希望を与えてくれる理由がわかるかい?」と。
一人がこう答えた。
「それはあの星が元々そういうものだからだよ」
それに対し、旅人は笑顔を見せ、再び問いかけた。
「あの星はどこからやって来ると思うかい?」
「どこか遠くからでしょ?」と一人が言うと、旅人は空を仰ぎ見ながら口を開いた。
「そうだね、きっと遠くから来たんだ。それに、あの光り輝く星は元々そういうものであったかもしれない。しかし、その光をみんなに見せるために、あの星は今までいた同じ場所に居続けることをやめたんだよ。
あの星は今までそうであると信じていた自分を変える決意をし、それを受け入れたんだ。その時、あの星は軽くなり、宇宙の流れに身を任せることにした。そして光と一体になり、今まで以上に光り輝く存在となった。だからこそ今、私たちはあの星の光輝く姿に感動することができる。可能性を秘めた存在だと感じるからだ。あの星は光としてこれからも流れ続ける。宇宙へと旅立つ者たちの 道を照らす 灯台として」
