
それがけっこう豪華系だったにもかかわらず、まずかった経験から
今年は「やはり自分の好きなものだけおせちにしよう!」
と決めた。
なんかかんやで大阪に住んでいる頃の正月は
実家にお世話になりっぱなしだったので
本当にひとりぼっちのお正月というのは今回で3度目だ。
食べ物に異様に執着する私は
なにはともあれ、かずのこだけは自分で作っている。
市販の味が好きになれないのと
いっぱい食べたいからだ(笑)
実家ではそれでも人の様子を見ながら食べていたので
飢餓感が半端なく
それが独り占めできるということはこの上ない喜びだ。
でも、作るのはそれだけ。
あとは
黒豆
かまぼこ
ロースハム
くりきんとん
のみ。
いくらは今年は節約だ。
スーパーにこれらを買い出しにいった時に少しびっくりした。
クリスマス明けだったので店頭はもちろん正月向けのレイアウトになっていたのだが
いまやおせちの具(?)で買えないものはないくらい何でも揃っている。
一番驚いたのは
「おせちセット」なるものがあって
いろんなアイテムが少しずつセットになって売られていたのだ!
しかも数種類。
もはやカット野菜や鍋セットのような感覚だ。
また意外とそれが売れている。
20代ぐらいの娘を連れた母親がそれを持ってレジに並ぶのを見て
勝手だが、ものすごく勝手だが
少し寂しくなった。
私が小さい頃は
年末ともなると台所(キッチンじゃなくて台所)はコンロがフル回転。
子供が立ち入る隙もなくあらゆるところにおせちの材料が置かれていた。
いろんな煮炊きものが同時に作られていくので
それらが混じってむせ返るような匂い。
正直煮しめはそんなに好きではなかったので
決して美味しそうな匂いとは思わなかったのだが
年末独特の匂いとあわただしい母親たちの雰囲気に
「もうすぐお正月!!」という気分がいやおうなく高まっていく。
紅白が始まる頃には部屋もきれいに整頓され
皆で年越しそばを食べる。
そして美容室に行って肝のように結い上げてもらった髪を乱さぬように
除夜の鐘を聞いたあと床につくのだ。
枕元には新品の下着。
正月がプレシャスだった時代は今もうない。
スーパーだって百貨店までもが元日営業するご時世
正月は1年の中のいちイベントにすぎなくなってしまったようだ。
年末も年始もなく働く人が多くなってしまったことが悪いとは一概には言いたくはない。
かくいう私もその一人だ。
でもこういう年末の風景を知らない人が増えていくのは何とも哀しい。
だって本当は家族と、みんなと一緒に過ごしたいんだもの。
奇しくも今年は和食が世界遺産になった年。
それには日本人の心、日本人の文化が付随する。
それらがないものはもはや和食とは言えない。
もわっと広がる湯気の中に霞んで見える
割烹着姿のお母さんの記憶は
年末も年始もなく働く私が、
それでもきちんと日本人であり続けようと思わせてくれる
大切な根っこなのだ。
皆さま
よいお年をお過ごしください。
こゆき。