私を忘れないでいてほしい。

ママが今みたいに、
心から死んでしまった
誰かのことを思うとき...

その誰かはこの世界と
つながることができるのだから。

ママが私のことを思って
新しい風景を見れば...

ママの目は私の目と同じになる。

その景色を
私も見ることができるんだよ。

私はママの一部になれるの。






ふたりでいっしょに、
もっともっと生きよう。

世界の果てまでいって、
最後の力の一滴が
かれるまで生きよう。


朝日のなか、ぼくは目覚めた。
目を開くとイノシシ林、
それに雲のかけらが
ひとつも浮かんでいない
空が見えた。

ぼくは立ち上がり、
早朝のアリスのドッグランを見た。
アリスがシッポを振りながら、
ひょっこりと角を曲がって
あらわれそうな気がした。


アリスの温かな身体を
抱きしめた感触は...

今でもてのひらにはっきりと
残っています。
