胸が痛むほどかわいかった | 続・阿蘇の国のアリス
春が深まっていく。


死んでも、
ジュジュくんと
シュシュくんがきても...

日ざしは強くなり、
風はやわらかになり、
木々の緑は元気に
色づいていく。


どうして、
私だけこの春色とは
無縁なのだろうと、
悔しく思った。


いろは


彩り豊か、
古民家レストランのランチなら、
気分転換にはもってこいです。


「わかりました、
私たちも行きます」

ジュジュかあさんの声が
明るく流れました。


なぜこれほど話をすることが
あるのでしょう。


時間は飛ぶように
すぎていきました。


「なみちゃん、一緒にたべよう」


昼食を終えたあとは、
菊池公園から菊池神社を
ゆっくりと散歩しました。


「シュシュくん抱っこさせて」




長い、桜の階段をおりると、
菜の花畑が見えました。




「ジュジュくんおいで」


と、その時...

「ニャの花畑、きれいだニャ~♪」






「ニャにすんの...」


「チッ」


「だめよ、ジュジュ。
ネコをいじめちゃ...」


「つぎは菊池神社に行くよ」






空には夕方の光が流れ、
雲がオレンジ色に染めています。


風は生ぬるく、
私とジュジュくんのあいだを
抜けていきました。

参道をすすみながら、
ジュジュくんは私を見あげる。

「アリスちゃん...」


風がジュジュくんの額を
のぞかせてくれた。


アリス...

そんなときどんなふうに
自分が見えたか知らないだろうから
いっておくと...


きみはほんとうに
胸が痛むほどかわいかった。


アリス、8歳おめでとう。


いつでもぼくの心は濡れている。