アリスが生きたかった明日 | 続・阿蘇の国のアリス
何て幸せなんだろう...

※柿の葉寿し本舗


ママとこんな風に
隣り合わせに座って
ご飯をたべる。


些細なことかも
しれないけれど、
私にとってはかけがえのない
夢のような時間だ。






「アリス...」


名前を呼ぶ声は優しかった。

あまりに優しくて、
目の奥がじんと熱くなった。


「アリスが死んだから、
私ももう、
いつ死んでもいいかな...」

瞳は涙でにじんでいる。


「私、どうしてこんな風に
なっちゃったんだろう...」


「ママ...
ママが生きている今日は、
アリスが生きたかった明日...」


「だから、
なにがあっても
精一杯生きなさい。
精一杯生きて、それで、
うんと幸せになりなさい」


「もう大丈夫、充電完了」

ママはへへへと
口を大きく横に開いて
笑いました。






もう一度、また一歩、
つぎへと踏み出す勇気がほしい。


あの日、
私は走った。

風を追い越して、
人を追い抜いて、
この阿蘇のどこかにある
夢の国を探し求めて
走り続けた。