「アリス、世界地図描こうね」
「パパ...やっぱりダメ。
水も、食べ物も、
全部吐いちゃってるから」
「呼吸困難のつぎは嘔吐か...」
「どうしょう...
どうしたらアリスは
のみ込んでくれる?」
近くの水源に
水を汲みにいきました。
雪解けの川音ほど
春を告げる調べはありません。
みんな去年と同じ。
あたり前のことか。
本当に繰り返されてゆく。
...私たちの喜びや
悲しみとは無関係に。
自然の秩序とは、
だからこそ
私たちの気持ちを
なげさめてくれるのかも
しれません。
「パパ、おろして」
「鯉さん、こんにちは」
「アリスちゃん、鯉にちは」
「くやしいね、
アリスは生きようと
しているのにね」
「死なせてたまるか」
「アリスちゃん...」
「マリコお姉ちゃん♪」
「ショートケーキ...」
「はい」
「たべたい」
「こうなったら...」
「これでどうかな?」
「ゴクン...のみ込めた♪」
「アリス、もうひとくち」
「うん、のめた♪」
「がんばろうね、アリス」
「...うん」