たくさんたべたい | 続・阿蘇の国のアリス
「アリスちゃん、ほとんど、
寝たきりになっちゃったね...」


すぐそばに
絶望的なママの顔がありました。

「だいじょうぶ、だいじょうぶ」

何度この言葉を
ぼくは繰り返したでしょうか。

ママより先に
ぼくがつらくなるわけには
いかないのです。


アリスのまえにひざまずきました。

アリスがぼくを見あげています。

ぼくたちふたりの心は
確かにつうじあっていた
のだと思います。

唇は動きませんでしたが、
アリスが考えていることは
しっかりとわかったのです。

(どんな形であろうと、
私は8歳の誕生日まで生きてみせるよ。

それが、パパとママの願いなんでしょう)

アリスの震える身体を抱き締めました。

「ブランケット、着ようね」


「ねぇ、アリス、
明日はケーキでもたべに行く?」


(うん、行く。やった~♪
じゃあ、苺凛香のピスタチオね)


(パパがたべさせてくれる?)


「うん、たべさせてあげる」


(たくさん、たくさん、たべたい!)

「うん、いいよ!」


(ママに叱られないかな?)

「叱られないさ、うんと喜んでくれる!」


(うん♪)






(なんだか、眠れなくなっちゃった)