今度は、
フー子のお母さんが、がんです。
おととし、お父さんを
がんで亡くしたばかりなのに。
ママのことを
励ましてくれていたのに。
気がつくと、
フー子から笑顔が消えていました。
口にこそ出しませんが、
ぼくは胸の底でつぶやきます。
「フー子、不運と思うな」
ママとアリスには
口に出して言っています。
「不運じゃないよ」
もっと辛い人は世の中に
ゴマンといる。
己を不運と考えた瞬間から、
生きる力が停滞する。
ママががんになったばかりの頃、
ぼくはママにひどいことを
言いました。
「泣くな、犬の方が先に死ぬ」
それから、ママは泣かなくなりました。
毎日ご飯をたくさんたべて、
ゆっくり眠っています。
口ぐせは、
「アリスより先に死ねない」です。
だからアリス...
「おまえも死んじゃダメだよ」。