信仰 | 続・阿蘇の国のアリス
「行って来ていいよ、
私、待ってるから...」


私たちは山鹿の
「若宮神社」を参拝した後...


玉名の
「蓮華院誕生寺奥之院」まで
足を延ばしました。




「大仏様、ありがとう。私、生きてます」


玉名の地で誕生した
皇円大菩薩(こうえんだいぼさつ)
を本尊とする、
九州別格本山の寺格を持つ
蓮華院誕生寺は...


戦国時代に焼失するも、
昭和4年(1929年)に再興。


さらに昭和53年(1978年)、
霊峰・小岱山の中腹に開創されたのが、
奥之院です。


早朝6時と正午の2回。

世界一の(大きさ)
大梵鐘(だいぼんしょう)が
響き渡ると...


土地の人たちは手を合わせ、
その日一日の幸せを祈るといいます。


「私、これがしたかったの...」


「素焼きのお皿に
願い事を書いて、
深い繁みの谷に向かって投げると
願いが叶い、苦厄から
とき放たれるそうよ」

※これはパパが書いた願い事です




「行くよ」


「思いよとどけ!」






「思いよとどけー!」




「ねぇパパ、私助かるかな」

「大丈夫、ママは助かる。生還できる」

そう返答してから、
ぼくは胸のなかで断言しました。

ぼくが必ず生きて帰らせてみせる。


ぼくは自分がなしうる
すべてを試みるでしょう。

多くの神にも祈るでしょう。

自分の命と
ママとアリスの命を
取り替えてもいい。


ぼくは神を素直に信じる人を
羨ましいと思うし、
信仰は正常な人間の営みだとも
思います。

「私のこと、忘れられたのかな...」