両親のいない自分は
ここまでやってこられた。
みんなだってそう。
たとえ自分の命を失おうと、
私はどこまでも
ママについていくつもり」
ママがぽつりといいました。
「犬を愛するみんな、
そして私たちも、
ほんとにすごいところまで
きたのかもしれないね。
イノシシ林、覚えてる、アリス」
私は全力でうなずきました。
あそこはふたりのすべてが始まった場所。
ママが笑顔で見つめてきました。
それだけで私の胸はいっぱいになりました。
「アリス、いっしょにクリスマスまで
飛んでみようか」
阿蘇の夜景を望むガラス窓に、
ママと私がならんで映っていました。
目を見れば出会ったときから、
変わっていないのが
はっきりとわかりました。
私はそれがうれしくて、
また全力でうなずき、
むしゃむしゃと肉をほおばりました。