溶ける滝 | 続・阿蘇の国のアリス
傷ついた獣のように、
私はこれからすごしていくのかな。


じっと家にこもり、
独房のように暮らすのかな。


「温泉に行こうよ、半額券もあるし」


穏やかに晴れた冬空のした、
私たちは旅に出ました。


※阿蘇市


「アリスちゃんは、駐車場でお留守番?」


「うん、そうだよ、バサシ、ウマヒモ。
滝までは600メートルあるからね」


「なんだ坂!」


「こんだ坂!」


「何もなかった時代、
人間は自分の生活圏以外のどこにも
刺激を求める必要はなかったんじゃないかな」


「それは日々の暮らしの中で
向こうから飛び込んできた...」


「日常生活で求めていたのは、
刺激よりも休息だったと思う」


「けれども、今の時代、
すべてのことが決まりきっている。

明日のことも、その先のことも...」


「アリスがぼくに
新しい扉を開けてくれたんだ。

アリスとの関わりの中から
何か暖かいものを得ることができたんだ」


「だから、
アリスと生きていくということは、
ぼくにとって大切なことなんだ...」


※古閑の滝




「ここが、
ジュジュとうさん御用達の朝日屋さんか。
阿蘇で暮らしているのに知らなかった」


「馬刺しと馬ヒモください」


ピカ
「ぼくもたべてるから元気!」


「アリス、たしろやさんの万十たべる?」

「うん、黒ふたつに白ひとつ♪」


万十を口に入れてもらいました。

その口ごたえのあまりのやわらかさに、
私は涙ぐみそうになりました。


「アリスに出会うことによって、
運命のコースを変えられたんだ」

(パパとママに出会うことで
運命のコースが変わったの)