白雪姫のアリス | 続・阿蘇の国のアリス
つぎの瞬間、
私は天井の隅から
リビングを見おろしていました。

自分の身体が床のうえで痙攣している。

失禁もしていました。

ペットシートが丸く濡れていました。

ピンクのおなかだけが
必死で生きようと上下しています。

(死へのカウントダウンが
始まってしまった...)

私は不思議と冷静に
すでに魂を失ってしまった身体を
眺めていました。

「なにが起きた」

パパとママは
ベッドの横で痙攣している私に気づくと、
目に見えて震えだしました。

(パパ、ママ、ごめんなさい。
私はもう助からない)

リビングの天井近くから叫びました。

翌朝、アリス3号は、
ペットクリニックにむかっていました。

私の身体は診察台にのせられ、
注射をうたれています。

瞳孔は開いたままで、
顔の筋肉が支えをなくして
垂れ下がっていました。

「脳梗塞...」

うっすらと開いた目からは
意味のない涙が流れています。

私はこのまま
なんの意思も伝えられずに
終わるのが、くやしくなりました。

そのときです、
友達の声がたくさん聞こえてきました。

「まだまだ、
アリスちゃんはがんばってくれる、
そう信じて祈っています」

「負けないでって、
心から伝えたいです」

「アリスちゃん、アナタのことが
頭から離れません」

「わたしにまた、
うーってうなってね」

「ひめと一緒に頑張るんでしょう」

「心から尊敬します、そして愛しています」

「頭のてっぺんの
百会というツボを刺激してごらん」

「鳥のさえずり、
川のせせらぎを思いだしてみて」

「アリスちゃんの強さをまた見せてください」

「その頑張りに心からエールと愛を送ります」

「アリスちゃん、また奇跡を起こそうね」

「素敵な物語が永く続きますように」

「クリスマスを一緒に迎えよう」

「神様、アリスチャンを連れて行かないで」

「ぼくを傷つけてもいい、アリス生き返って」

冷たい涙がとまらなくなりました。


皆には心から感謝しています。

最後に気もちを伝えるために、
私は他人のように見える
自分の肉体に潜りこんでいきました。

深夜4時、
私は目を覚ましました。

抗てんかん剤と一緒に
馬刺しも3枚たべました。


いいね、コメント、リブログ、
メッセージもたくさんいただきました。

全部読ませていただきました。

それは心の溶けあう時間でした。

本当にありがとうございました。

「今の白雪姫のアリスちゃんです♪」