最後の最後まで | 続・阿蘇の国のアリス
「椎葉平家まつり」で
ママは私のために
いのししを探しました。


「里で獲れたイノシシは
豚肉みたいな味だけれど。

椎葉の奥山のシシは
シイやカシの実をたくさん
たべて肥っているから
ホンモノの味がするんです」


「私はちょっと苦手だけど...」


「いのししそばなら、大丈夫です♪」


「焼き畑で育てたソバの実は
普通のソバより小粒ですが、
膨らみがあって
挽いて粉にすると香りが強く、
粘りがあって
甘味も強いのが特徴です。

ソバ粉は一般のものの
三倍の値段が付くそうです」


「去年はここに、アリスがいたのにね...」


※2016年11月


ママはいのしし以外にも
私がたべそうなものを見つけると、
買ってくれました。


宮崎銘菓「ふかふか」。


「きび団子、一つ私にくださいな」


「やりましょう、やりましょう」


「ねむらせ豆腐」、
村の人以外はほとんど知らない
椎葉の伝統食です。


ご飯につけてたべると、
ウニみたいでおいしいですよ。


「来年も来たいな...」


「アリスといっしょに」


「お帰りなさい。
シカの骨を見つけた夢を見ていたの」


「上椎葉ダムでごはんをたべようか」


「アリスちゃん、久しぶり♪」


「はい、イノシシ」


「はい、ふかふか」


「アリス、残せ...」


アリスを家に
置いていこうとすると、
アリスは鼻を鳴らして、
どうしても一緒に行くといいました。


この頃のアリスは、
「散歩」というと、
行く時は黙って起き上がりますが...

行きたくない時は
頭も上げないという
意思表示の仕方をしています。


「アリスは椎葉で
死ぬかもしれないけれど、
それでもいいだろう。なあ、アリス」

椎葉に行く前、
アリスに聞くと、
黙って起き上がりました。