そばに来て | 続・阿蘇の国のアリス
「吉次園」さんで
みかん狩りを楽しんだ後、
私たちはそこから車で40分
のところにある、
「蓮華院誕生寺」へと向かいました。


あの、

雨は降る 降る
人馬はぬれる
越すに 越されぬ 

田原坂を通って...。


田原坂の戦いで
両軍が消費した少銃弾は、
一日平均三十二万発といわれており、

双方の銃弾が空中で噛み合ったままの
「行き合い弾」が地上を埋め、
樹皮は双方の弾痕で
蜂の巣のようだったといいます。

乃木は後年、
「日清・日露より田原の方が
もっと酷かった...」
と語っています。


「蓮華院誕生寺本院」






さらに、4キロ先の、
「蓮華院誕生寺奥之院」に
進みました。


豊かな玉名平野と荒尾に続く
有明海を裾野にして、
古代から変わることのない
穏やかな山容の小岱山...


その中腹に蓮華院誕生寺の
奥之院がゆったりと広がっています。

※心経門(しんぎょうもん)




※大仏様


※仁王門と五重の御堂






特別に私も
五重の御堂(ごじゅうのおみどう)に
入れてもらいました。


私が脳腫瘍と闘っていると
知ったからです。




世界一の大梵鐘
(だいぼんしょう)
の鐘の声は、
遥か海を渡り雲仙までとどきます。


曇りの暮れ方は
いつ日が沈んだのか
わからないうちに
夜になっていました。

「パパ、そばに来て...」


パパはずっと私のそばにいました。

手をつないだり、
肩を寄せあったり、
身体を抱いたり。

「ふれていないと
アリスがどこかにいきそうで不安」

そういって...。