マジックアワー | 続・阿蘇の国のアリス
「俵山珈琲焙煎所」から、
ペットクリニックに
行くことにしました...


病状がちょっぴり悪化していたからです。

「17日振りの病院かな」


「コヒメくん、またね♪」


いつのまにか夏は過ぎていて、
10月の高空には
飛行機雲が走っていました。

「りぃさんも今頃、
夕焼けを見ているのかな」


夕焼けは、
陽が沈む前よりも、
むしろ沈んでからの方が
美しいのだそうです。

金色からだいだい色、
ラベンダーからサックスブルー。

「マジックアワー」と呼ばれる、
壮大な空のショータイム。


「調子が良かったんですが、急に...」


「大丈夫ですよ。
血圧も、心臓も、肺も、
しっかりしています。

それに、体重が
増えていることが素晴らしい。

このタイミングで
体重が増えるなんて...。

やっぱりアリスちゃんは、
神がかってますね」


人生なんて、
全て望み通りに
生きて行けるものじゃない。

何かを手に入れるために、
他の何かを犠牲にすることは
あたりまえ。


誰だって、
そうやって少しずつ自分を殺して、
妥協しながら生きて行く。

それが、
大人になるということだと
思っていた。


だけど、
本当にそうだろうか?

今になって、
やっとわかったような気がします。


大人になるということは、
自分の心に嘘をついて
諦めることじゃない。


大切なものを守るために、
戦う覚悟を持つことだったんじゃ
ないだろうか?


それが、どんな困難な道であっても...。