コンサートへ | 続・阿蘇の国のアリス
聖子ちゃんのコンサートの前日。

ママは張り切って
福岡行きの準備をしました。


強い台風5号は
6日午後に九州上陸の
おそれがありましたが、
5日はまだ行けました。


ママが心配そうに訊きました。

「だいじょうぶ」

苦しい息をしながら、
私は強がりました。

「だいじょうぶ!
もう自力で立っているでしょう?
私のことはいいから行ってきて」


ママとパパは遅く出発して
早く帰ってくるために、
新幹線で行くことにしました。


釣りキチ店長ファミリーが
駅まで見送りに来てくれました。


「14:01熊本発、さくらがきた」




「行ってきます♪」


ママとパパがいなくなると、
私は何度も息をしました。

吸っても吸っても、
酸素が入ってこないのです。

息はますます激しくなりました。

のどの奥に湖でも生まれたようでした。


「14:39、もう博多駅に着いちゃった」




早速、ママとパパは「因幡うどん」さんへ。


「博多らしいやわ麺と風味豊かなダシ。
ごぼう天うどんが最高♪」


コンサート会場の
マリンメッセ福岡までは
タクシーに乗り込みました。

「ツアートラックの前で♪」


やがて、
歓声と拍手が一段と大きくなりました。


次の瞬間、
歌声とともに幕が上がりました。

目の前にステージと会場が
一気に広がりました。


パワフルな聖子ちゃんの登場です。




「あ~あ、あっという間だったね」


「楽しかった...」

ママには夢のような時間だったようです。


気がつくと、
セイラママが手を振っていました。

ホーちゃんとホーちゃんパパも
立っていました。

仕事が終わって、
私の介護に飛んできたのです。


「ああ、神さま」

私は泣きそうになりました。




「アリス、ただいま!
だいじょうぶだった?」


「うん、平気だった!」


ホーちゃんファミリーありがとう...。

私は心のなかで呟きました。