2017年外来その3 | 続・阿蘇の国のアリス
火曜日はママの外来でした。


4月はママが
抗がん剤を飲み始めて2年。
という節目の月になるので
にせモンとイケメン店長も
一緒に付いて来ました。

「ロコさん、ココママさん、でたよ♪」


「落とすなよ、にせモン」


「今日はぼくたちが付いているから
ママの検査結果もだいじょうぶですよ」


「パパ、山田さんちの
アイスクリームちょうだい♪」


病院には一時間半ほどで着きました。


「ママ、ファイト!」


「三人は親子よりも仲良く
手をつないで病院の廊下を歩きました」


「痛いの痛いの飛んでゆけ~!」

パパは検査の最中、
いつものように心の中で呟きました。


検査結果が出るまで
四人は病院内の
「タリーズ」で待ちました。


ママにがんが見つかったのは、
2015年の早春でした。

担当医からは
手術や放射線療法が
できないと言われ...

残る治療は
化学療法しかない状況で、
ママの肺にできたがんに
ALK融合遺伝子が
あるとわかったので、
「アレセンサ」という薬を
のんでいます。

しかしこの薬も
いつかは効かなくなります。

「あんなところに、鳥の巣がある!」


病院とは、
一隻の大きな船なのかもしれません。

長期の入院患者は
ひとつの運命共同体のようです。

運のいい者は快癒してこの船を
降りられるし、運の悪い者は
棺に入ってひっそりと船から出される。

病院は病を治す場所であると同時に、
人が死んでいく場所でもあるのです。


イカにあたって
じんましんもできたし、
風邪をひいて38度の熱も出たけれど、
ママの検査結果は
順調だと言われました。

「ほらね、言ったとおりになった」


それから四人は、
「勝烈停」でとんかつを食べました。




4月生まれが3人もいるので
乾杯をしました。


いつしか話題は、
10月のイケメン店長の
結婚式の話しになりました。


「結婚式に五百万はかかりそうです。
九州演劇協会会頭の
玄海竜二さんも呼ぼうと思います」

「ぼくは五万円包みますね」

「私、着物で出席しようかな。
家族みたいなものだから、
引き出物はいらないよ」


「そうだ。二人に
誕生日プレゼントしなきゃね。
パパに何か買ってもらいなさい」


「ぼくは服!」

「俺は靴!」


「これにしょう...」




「サイズがない」


「俺はこれがいい」




「シホさん振り向いてくれるかな?」




「チッ、いつまでも待たせてるから、
ヨダレ付けてやった」