もうひとつの誕生日 | 続・阿蘇の国のアリス
「手術も放射線もできない難しい
肺がんで、目標は一年です。
治療プランは抗がん剤の
化学療法となります...」

残念そうに医師はいいました。


「パパ、だいじょうぶ?」

台詞が反対です。
誰よりもいたわれるはずなのは、
悪性腫瘍と余命の宣告を受けた
彼女のほうなのに...。


彼女の検査入院は
2015年4月2日
からに決定しました。


抗がん剤治療初日は、
4月10日
朝9時30分から開始されました。


彼女は薬を飲むと、
うとうと眠りに落ちました。


薬の効果もあって順調に回復し、
晴れて彼女は退院することができました。


「退院したら真っ先に結婚式を挙げよう」

ぼくが言うと、
彼女は黙ってうなずきました。


4月10日...


彼女が抗がん剤を飲みはじめて
2年になりました。

「生きてくれていて、ありがとう」