酵素風呂その2 | 続・阿蘇の国のアリス
「アリちゃん、どうしたの?」


「カナちゃんの両親に
動物実験にされたの...」

「知ってる。ここに来る前に、
酵素風呂に入ったんだよね」


「そう。黒川温泉の
黒川トンネルから見上げたところにある、
わくわく天国村だか、
どきどき地獄村だか知らないけど...」


「カナちゃんの実家でやられた」




「ママとパパもやられた...」










「まな板の上のアリスって感じ...」


「10分間も、生き埋めにされたの。
今度したら、希さんに保護してもらうから」


「でも、気持ちよさそうにしてたよ」


「うん。確かに、気持ちよかった」

「じゃあ、よかったじゃない」


ガラスに映った
自分の目を見つめました。

ママのためにも、
パパのためにも、
そして誰より自分自身のために、
生きなければならない。

なにがあっても生きるんだ。

私はガラスのなかにうなずくと、
死体のように、
ひたすら眠り続けました。


夢は全く見ませんでした。


寝返りさえ一度も打ちませんでした。


深夜になって
ずるずると水分をすする音がしました。
きっとママが
私に水を飲ませてくれているのです。

「ありがとうママ。おやすみなさい」