ママの守り犬 | 続・阿蘇の国のアリス
「ねぇ、アリス。
アリスはどうして、人の心がわかるの?」

「それはね、私が神様の使いだから。
ママの用心棒になるようにって」


「アリスはずっとそばにいる?」

「ママを守るのが私の役目だから、
ずっといるよ」


私が暮らす南阿蘇(高森町)には、
「らくだ山」という、
不思議な形をした山があります。


あの山が、そうです。


山の形が
らくだのこぶと背中に見えるため
そう呼ばれています。


駐車場に車を止めて、
遊歩道を5分程登ると、
山の下まで行けます。


さて、パパがなぜここに
やって来たかというと、
動機は不純です。

じつは、
綾瀬はるかさんの匂いを
嗅ぎに来たのです。


「クン、クン。ここに間違いないな」


というのも、この場所が、
NHK大河ファンタジー
「精霊の守り人」の
ロケ地になっていて、
ここを、バルサ役の綾瀬はるかさんが
歩いていたのです。


パパの目的は達成されました。


しかし、
ロッククライミングに憧れるパパは、
らくだ山の頂上を目指して、
こぶ(巨岩)の上を歩き始めました。


「人、ひとりしか歩けない...」


「おっと、落ちたら死ぬな」


「根子岳がきれい」


私とママはそんなことも知らずに、
車の中でずっと待ち続けました。

「遅いね、パパ。大丈夫かな...」


「パパはね、
私とアリスの用心棒なのよ。
だから、大丈夫。
すぐに帰ってくるわ」