クリスマスツリーに願いを込めて | 続・阿蘇の国のアリス
犬たちが
人間に愛される理由は...


言葉を話さないからでは
ないだろうか。


これに加えて、
彼女らの命の短さもあるでしょう。

たった十五年かそこらで
逝ってしまうのだから...。


「アリス...先生が褒めてたよ。
よくがんばってるって」


「ホタテちゃんがアリスのように、
強くて優しい犬に育ってくれたら
いいのになぁって...」


「なぁに?」


「ねぇ、パンは?」


「はい、どうぞ」


その日ママは、
いつものボワジョリさんで、
真剣に本を読みました。


ターシャのクリスマスの本です。


「アリス...。
イブの前日に、
ジュジュかあさんと、とうさんと、
もなか親分が来てくれるんだって」


「いっしょに忘年会と、
クリスマスパーティをするんだよ。
あと少しで、また会えるよ」


「それからね。
サラパパさんがまた、
犬を飼うんだって。
そらちゃんも、
ルーニィさんも飼ったのよ。
あの人たちは、
犬を飼って慈しみたいんだね」


「アリス、どうしたの?
喉が痛いの。さすってあげるね」


一つの物語が終わり、
また一つの物語が
始まろうとしている。