名水茶屋 | 続・阿蘇の国のアリス
ママとパパの記念日を過ぎた
深夜のことです。

私はその日食べた物を、
吐いてしまいました。

「ごめんなさい...」


翌日は、
外には出たものの、
歩くことすらままならない状態です。

「ヨチヨチ」


トイレもできずに、
とうとう、腹ばいになって、
ぐったりとしてしまいました。

「もう、動けない...」


その様子を
じっと見ていたパパは、
私を抱き上げると言いました。

「だいじょうぶだよ...
アリスはまだ動ける」


そして、
私を車に乗せると、
ある場所まで連れて行ってくれました。


そこは、県境にある、
「名水茶屋」さんでした。

私が大好きな場所です。


「ネコはどこ?」


「コイは、ヤマメは!?」


不思議なことに、
私は本当に元気をとり戻していました。


ママも何事もなかったかのように、
水を汲んでいます。


「18本汲みました」


それから、
ママとパパは向かい合って、
だんご汁を食べました。


「楽しかった...」


ママはすぐに気づきました...


パパがうれし泣きしたことを。


「だんごだ」


食欲も出てきました。


「ワオン、ワオン!(ルイくん風)」


食事の後、
みんなでカワノリを探しました。


「あれを味噌汁に入れるとおいしいのよ」








何だか夢心地で歩いていると、
落ち葉の中に
可愛らしい花を見つけました。


これまで一体何度
こんなふうに旅を
繰り返してきたのでしょうか。

「し・あ・わ・せ」