可憐な旅 | 続・阿蘇の国のアリス
その日は、
遠足へ出かける子どものように
早くから目が覚めてしまいました。


大分県竹田市ー。

大切な友人とゆく場所は、
熟した実が落ちるように
決まりました。


午前10時。
ジャスママさんと、
ビームさんと、るーさんを
乗せたフー子号が、
我が家にやって来ました。

「来たー!」

昨夜は、
「グリーンピア南阿蘇」に、
泊まっていたのです。

「アリス、おはよ~う♪」


竹田に向かう途中、
波野高原に立ち寄りました。


「700万本のそばの花畑」を、
パパがみんなに
見せたかったのです。


白い花に付き始めた
そばの実は、
秋の光を浴びて金色となり、
無数の宝石のように輝いています。

「これがそばの実...。初めて見た」


さらに進むと、今度は、
「七ツ森古墳の彼岸花」がありました。


「こんなに咲いてる
彼岸花を見たのも初めて!」


やがて、
わたしたちは、
タイムトンネルに導かれるように
竹田市の「岡城跡」へと
辿り着きました。


少年期、
本丸跡で遊んだ瀧廉太郎は、
後に、「荒城の月」を
作曲しています。


みんなは、
わたしを車に残して、
本丸跡まで登ることにしました。


本丸跡では瀧廉太郎が待っています。


不思議に穏やかな時間が
まだそこにありました。


満ち潮が押し寄せ、
再び引いてゆく前の、
海の静けさのような時。


突然、ジャスママさんが叫びました。

「私、こんなのへっちゃら!
10キロだって平気で歩くの」


ジャスママさん、
あなたは本当に可憐な人です。


あっ、そうそう。
あの日、
そばの花畑の横に咲いていた
花の名前がわかりました。

「ツリフネソウ」。
花言葉は、華麗だそうです。