農道を左に曲がると、
看板犬
舞・くろ・武蔵ちゃんがいる、
「南阿蘇白水そばなか津」さんが。
右に曲がると、
看板犬そばちゃんがいる、
「蕎麦工房まつ田」さんがあります。

「そばちゃん来たよ!」

「アリスちゃん!
死にかけたんだって?
風の又三郎に聞いたんだ」

「そうなの。でも、生き返ったのよ」

まつ田さんでは、
いつも鴨せいろです。

それからわたしたちは、
一度は買おうとしてあきらめた、
中古物件を見にゆきました。

家は、いまだに売れておらず...。
パパはその場から、
お梅とフー子に電話をしました。

「築5年の家と
1000坪の土地。
目の前には根子岳が
悠然とそびえている。
買わない手はない」

秋の訪れは、
忙しかった夏の生活に
ゆっくりとブレーキを
かけ始める。

そう、人々は、
夏の間走り過ぎてしまったのだ。
「ね。いい場所でしょう!」

去りゆく夏は名残り惜しい。
けれども、
やがて来る季節が、
人の気持ちを立て直してゆく。
「お前とママが、
元気になってくれたら、
今度こそ、この場所を買う。
オープンガーデンと、
広いドッグランをつくるんだ」

「だから、お前も、ママも...」
