山神の里 | 続・阿蘇の国のアリス
九州の中央、
宮崎県と大分県の
県境に位置する
祖母傾山系には、
絶滅が危惧されている
希少種をはじめ、
多くの動植物が生息しています。

なかでも
竹田市神原地区は、
「山神の里」と呼ばれ...


ニホンカモシカや、
幻のムハンアマゴ...


さらには、
ツキノワグマ生息の
可能性すら秘めています。


その日パパは、
「心も体も健康にしてあげる!」
といって、わたしとママを、
山神の里まで連れ出しました。


確かに、
「薬膳おだまき」さんには、
咳の症状に働きかける
野草五膳があって、
ママはそれを...


パパは、目の疲れがとれる、
メニューをいただきました。




「地元のお母さんたちが
真心込めて作った、
ほんとうにおいしい薬膳ごはんです」


その時わたしは、
車の中で待たされていたのですが...


駐車場の水たまりに、
気になるものを見つけました。


死に向かいあてもなく流浪する、
カジカのオタマジャクシです。


わたしは、
帰って来たパパに叫びました。

「ねぇ、助けてあげて!」

するとパパは黙って、
オタマジャクシを手ですくい、
川に放ちました。

「残ったオタマジャクシは、
大雨でカジカになるから...。
手ですくったカジカたちは、
僕たちに、とびっきりの
歌声を聞かせてくれるよ」


こうして、
わたしたちの旅が始まりました。