蘇陽狭にて | 続・阿蘇の国のアリス
ある日の午後、
バナナようなフンをしていると...


山からのろしが上がりました。


「ママ~、大変~!
のろしが上がった~!」


私は興奮して、
スーパーカーになって
ママに知らせました。

「ブーーン!」


「もう、こんなに汚してしまって。
あれは野焼きよ。今日は川行きね...」


いつもの谷に着いて
車を降りると、
乾いた銃声が2発、
いきなり聞こえました。

「パーーン!パーーン!」


獣が撃たれたんだ...。


川で泳いだ後...


去年埋めた石を掘り出しました。


ハート形の石ころです。


谷をあとにする時、
釣り人を見かけました。


「フライフィッシングだ」


少し進むと、
車一台通るのがやっとの
林道の道の真ん中に
軽トラが止まっていました。


「どうしたんですか?」
パパは運転手に尋ねました。

「シカを撃ったら、
崖から落ちたんだ。
だから皆でロープを使って
引き上げてるところ」


パパも少しだけ
手伝いましたが、
撃たれたうえに
崖から落ちたシカを
見ることができず、
車に乗り込みました。


やがて別の軽トラが
近づいてきました。


荷台には撃たれたばかりの
イノシシとシカが乗っていました。


おそらく、
その光景を初めて見た者は、
その沈黙に耐えられなくなるでしょう。

パパは沢の水を飲むと、
ただのひとことも話さず
その場を立ち去りました。