倶利伽羅谷には、
昔から、
鬼が棲んでいると
云われてきましたー。

そんなある日の午後、
私たちは、
ネネ子ちゃんも誘って、
鬼退治にいくことにしました。

谷に入る前、
キジがいたので、
誘いましたが、
「あそこはごめんだ!」
といって、飛び去りました。

次にアカウシと出くわしました。

アカウシは、
近づいてきていいました。
「あそこだけはおやめなさい」

けれど私たちは、
お地蔵さまにお祈りをして、
谷へと入ってゆきました。

冒険には、
危険がつきものなのです。


途中、
落石なのか、鬼の仕業なのか、
つぶされたお堂がありました。

そしてその先には...
見張り役の
ゾウが建っていました。

私たちは、
ゾウに気づかれないよう、
静かに門をくぐり抜けることに
成功しました。

しかし、次の瞬間...

「助けてーーー!!」
ネネ子ちゃんの
悲鳴とともに、
ついに赤鬼が現れたのです!

赤鬼はいつの間にか、
ネネ子ちゃんを
さらっていました。
「ネネ子ちゃんを返してー!!」
ママは叫びながら、
隠し持っていた豆を、
鬼にぶつけました。

「鬼はーー外!」
「アリスはーーうち!」
ママが戦っている時、
私は歳の数以上の豆を、
なめながら食べました。

そして気づいたら、
鬼の足までなめていました。

「ワッハッハッハ!」
赤鬼は笑いながら、
とうとうネネ子ちゃんを
手から離してしまいました。

そして、洞窟へと
逃げ去っていったのでした。

「さすが、アリス♪」

「デへッ♪」

「ねぇママ、
もうそろそろだね、
何だか春の匂いがするよ」

