『侯爵サド夫人』
藤本ひとみ 著 文藝春秋
前回、サド侯爵についての本を読んだので
その妻であるルネについて書かれた本を今回は読んでみました。
地位もあり、妻も子もある人が浮気をする愛人がいる。なんて話は正直沢山あるし珍しいわけでもない。
しかし、サド侯爵のしたことは事実であれば大事件でありセンセーショナルであり、世間をおおいに騒がせたはず。妻のルネや子ども達はどんなに肩身が狭く辛い批判と好奇の目にさらされたか。これが現代に起きていたら、あっという間に世界に拡散されて謂れのない誹謗中傷もあっただろう。
でもルネはサド侯爵を慕っている。すべては自分が至らなかったせいだと言う。なぜそう思うのか?
幾度となく世間を騒がせるサド侯爵に疲れてショックで精神的に病んでいるのではないか?
愛している、きっと最後は自分のもとに侯爵は帰ってくる。
そうルネに思わせている心の奥底にあるものは何か。
読み進める手が止まらず、一気に読了しました。
ルネにはサド侯爵だけではない闇がありました。
ルネの最期は穏やかであってほしいと願った本でした。