こどもはちゃんとわかっている
自分で言うのもおこがましいですが、ちいさい頃わたしはとても良い子でした
親の言うことをきちんと守り周囲に迷惑をかけないよく弁えたこどもだったのです
「そうなろう」
と自分で考えてなったのではなく
ただ素直にすべて受け入れた結果そのように育っていました
当然大人受けは大変良く、とても可愛がられて育ちました
そんなちいさなわたしが困る時、それは
”大人から何かをもらうとき”
でした
親族をはじめ、親の友人など大人がなにかにつけてわたしに何かをくれようとします
勿論こどもだったので何かもらえるというのは単純にとても嬉しいものでした
しかし親からは
「何かをねだったりものやお金をもらってはいけない(知らない人を含め誰からも)」
と言われていたのです
「大人はよかれと思ってなにかをくれる」
「もらえば嬉しい」
「もらってはいけない」
もう少し処世術が身につけばうまく切り抜けられるでしょうが、小学校に上がる前のこどもがうまく対処するにはあまりにも複雑な状況です
「親からもらってはいけないと言われている」
とも言ってはいけないので
「いらないの」
と控えめに言うほかありませんでした
結局素直に喜ぶことも、お礼を言うこともできないまま無理やり渡されて親に報告に行く
そして親がお礼を言い、促されてお礼を伝える
このようなことを繰り返し切り抜けてきたのです
しかしいつものように対応したある時
「欲しいものを言わないなんて、かわいくない子だ」
と言われたのです
わたしはこの言葉の意味を正確に理解していました
そしてとても傷つきました
駅の階段を上っている途中でしたので、うつむいて涙をこらえるのに必死でした
今でもこのときのわたしがかわいそうでしかたありません
「大丈夫、ちゃんとわかっているよ」
と声をかけて抱きしめてあげたいと思うのです

