日常の煩わしさから逃れるように旅立つとき、私の旅のお伴は大抵リュック1つ。
スーツケースすら持たず、必要最小限のものだけを詰めて。
リュック1つという旅は最早、現実逃避などという段階は超えていて、
楽しみに出かけるのではなく、ただ流されるままに出かけるわけで
。
「どちらまで?」
「あ、海の向こうに」
「え、それだけの荷物で??」![]()
この会話は大抵、チェックインカウンターでも交される。
「お荷物、それだけですか?」
「あ、はい…」![]()
そんな旅をした。
リュック一つを背に、期限切れ近いパスポートをかざして日本を出国。
11日間、海の向こうの異国の地で私を迎えてくれたもの。
11の街をめぐり、記念のマグでリュックの重さはかえって増すのに、心を軽くさせてくれたもの。
11の土地を踏みしめ、海を、山を眺め、昇る太陽を迎え、そして沈みゆく太陽を見送り…。
テーマもなく、ただなりゆきに任せて地図だけを片手に見知らぬ土地へ。
旅の始まりはミュンヘンから
。
そしてバルセロナへ飛び、
陸路でフランスに入り、リヨン、エクサンプロヴァンス、マルセイユ、ニース、モナコ、
そしてイタリアに入りヴィンティミーリア、ミラノ、ヴェローナを経て
オーストリー国境を越えインスブルックへと続いた旅。
どこから書き出せばよいか、まずは目を閉じて11の奇跡を思い出してみようと思う。
そう、これもなりゆきで
。
