野良犬の値段
百田尚樹著
幻冬舎文庫
2022.6.13読了
☆☆☆☆☆
“同じジャンルの小説は書かない”と公言している著者の、最初で最後?となるミステリー小説です。ただ、ミステリーっぽいのは上巻のみ。下巻になるとあっさり謎は解かれ、犯人とマスコミ(被害者はマスコミという設定)と警察の高度な心理戦が展開される。伏線の張り方とその回収は秀逸だし、テレビや新聞にケンカを売るようなストーリーは、著者の日頃の言動ともマッチして痛快でもある。一方、謎解きの面白さはイマイチなので☆4つと思っていたが、絶妙なエピローグで締めくくられたので☆5つに昇格。あざといけど、このあたりは著者の上手いところ。