読書感想(63)「風の中のマリア◆百田尚樹」 | アルジャーノンにシャンパンを

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どんな小さなことも 覚えていたいと 心が言ったよ♪♪
というわけでブログはじめました。
ちなみに、はつかねずみのアルジャーノンとは関係ありません。面識もありません(^-^)/。

風の中のマリア

百田尚樹著

講談社文庫

2013.7.29読了

☆☆☆☆


アルジャーノンにシャンパンを


主人公のマリアはオオスズメバチのワーカー(ハタラキバチ)。蜂を擬人化して物語が組立てられていて、その発想は斬新です。しかしストーリーは決して創り事ではなく、彼女たちの世界では実際に行われていること。生物学的な解説もあり、ともすればマニアックな内容もよく理解できます。

勇敢な戦士として生まれたマリア。しかしその寿命はたった30日。その短い一生のうちに、これほど濃密な時間が流れたとは・・・。その壮絶な生き様は、下手な小説より遥かに感動的です。

ちなみに本文中では“疾風のマリア”と呼ばれているのに、タイトルは“風の中のマリア”。でもこれ、読んでるときはまさしく“疾風のマリア”で、読み終ったあとの余韻では“風の中のマリア”がぴったりの表現。このあたりも上手いなぁ、と思います。