兵庫県伊丹市の昆陽池公園(27・8ヘクタール)に生息するコブハクチョウが5年前から繁殖しなくなり、数が最盛期の6分の1の約20羽まで落ち込んでいる。約半世紀前に10羽を迎えて以来、公園内で近親交配を繰り返してきたことが一因とみられ、池の水草の減少など生息環境の悪化も影響。公園を管理する市は別の生息地から新たな受け入れを検討しているが、近年の鳥インフルエンザの流行などから足踏み状態で、「まずは繁殖に適した水辺環境の再生を進めたい」としている。全長約1・4メートルのコブハクチョウは、くちばしの付け根の黒いこぶが特徴で、ヨーロッパなどに生息。同市では、1963年に山口県宇部市の公園から計10羽を譲り受け、73年から同公園で野外飼育している。
猛きん類や卵を食べるヘビなどの天敵が少なく、70年代後半に約120羽まで増えたが、近親交配が進んだ上、アオコの発生などの環境悪化もあり、徐々に減少。2003年春に9羽かえったのを最後に、産卵はするものの孵化(ふか)しない状態が続いている。
親鳥の高齢化も進んで、繁殖はますます難しい状態に。別の生息地からの受け入れについても、鳥インフルエンザが検出される野鳥が全国で相次ぎ、市担当者は「ウイルスに感染してしまったら元も子もない」と頭を悩ませる。
一方で、05年ごろに約1・5キロ離れた農業用貯水池に移動した1組のつがいは順調に繁殖。06年に2羽、07年には7羽のヒナをかえし、今年も5月中旬に4羽が孵化した。フェンスで囲まれた静かな環境で、巣作りに必要な水草も多いためとみられる。
市担当者は「当面はヨシの再生など、安心して繁殖できる環境づくりに力を入れたい」と話している。