最強の藻を探せ-。中部電力が、クロレラなど微細藻類の光合成能力を生かし、二酸化炭素(CO2)を削減する技術の開発に乗り出した。火力発電所から出る排ガスを吸収させ、成長した藻をバイオ燃料として火力発電で利用する考え。まずは高濃度と高温に耐えられる種類を見つけようと、地道な研究を続けている。
 「これですよ」。中電の電力技術研究所(名古屋市緑区)で、田村英生主任が正門前のガードレールを指さした。くぼみの辺りに点在する濃緑色。カビのような生き物が微細藻類だ。「雨が降って増えたんでしょう。クロレラもいるかも」。早速、歯ブラシでこすって採集した。
 主に水中で生きる微細藻類は陸上の植物と比べ、光合成が活発でCO2吸収が速い。ただ、一般的に火力発電から排出されるCO2の濃度は7-10%、排ガス温度は50-100度といい、利用には「厳しい環境で死なないことが条件」となる。
 そこで担当者は温泉地に足を運び、湯のかかった石に付着する藻を持ち帰ることも。現在、実験室で十数種類の光合成能力を調べている。
実験室で培養、観察される微細藻類=名古屋市緑区で

 電力業界で微細藻類のCO2吸収が注目されたのは1990年代。コスト面などの課題から取り組みはいったん下火になったが、中電では温暖化防止に向けた機運の高まりを受け、研究の復活を決めた。
 「なるべく早く実用化のめどを付けたい」と意欲を燃やす田村主任。強い藻の絞り込みができれば、来年度にも大型プラントで培養実験する計画だ。遺伝子組み換え技術による吸収量の向上も検討していく。
 ヤナギ、タブノキなどの大規模植林でCO2を吸収する研究も並行して進めており、こちらも火力発電のバイオ燃料に使う循環システムを目指す。
 中電は4月、電技研に田村主任ら精鋭5人を集め、「CO2削減技術グループ」を発足させた。「研究成果を、CO2削減のより有効な投資に生かしたい」とチームリーダーの西川洋行研究主査。回収したCO2を地中などに隔離する固定化技術にも取り組む方針だ。