諏訪湖で江戸時代から170年近く続いたとされるシジミの養殖が今年で終了した。養殖を手掛けてきた諏訪湖漁業協同組合(諏訪市)は、ヘドロが沈殿し、シジミの好む砂地が減っている現在の湖底では養殖の効率が悪く、市場に安定供給できないと判断。特定外来生物のカワヒバリガイの混入による影響も懸念した。

 複数の文献によると、諏訪湖でシジミの養殖が始まったのは1839(天保10)年。山梨県の川のマシジミを放流したのが始まりとされる。その後もほかの湖などから稚貝を購入して湖底にまき、養殖を続け、湖周の旅館、ホテルなどが購入していた。

 県水産試験場諏訪支場(諏訪郡下諏訪町)によると、シジミは1955(昭和30)年度には42トン近く採れた。しかし、工場排水や生活排水でアオコが大量発生するなどした1960年代から不漁傾向が始まり、昨年度は約1・3トンにまで減った。

 信大山岳科学総合研究所山地水域環境保全学部門(諏訪市)の宮原裕一准教授は「湖の富栄養化で湖底にヘドロがたまったことや、底の有機物の分解が進み酸欠状態になったことなどが原因ではないか」とみる。

 一方、同漁協の有志は、シジミ漁の継続に向けて05年から、網を湖の中につり下げ、水中でシジミを養殖する「垂下養殖」も試行。この養殖のシジミは順調に成長したが、同じころ、琵琶湖(滋賀県)や霞ケ浦(茨城県)などでカワヒバリガイが大量発生し、生態系を乱している-との報告があった。

 同漁協は、このまま稚貝を購入して養殖を続けた場合、カワヒバリガイが混入して、諏訪湖の生態系も乱す恐れがあると判断。今年の春先に稚貝を放流せず、養殖を中止した。

 藤森直章組合長は「総合的に考えて今が一番いいやめ時ではないかとの結論になった」と話している。