酸性の猪苗代湖のpH(水素イオン指数)が近年上昇し、中性化による水質悪化が懸念されている問題で、流入する河川の硫酸量の減少が大きな原因となっていることが31日、福島県の調査で分かった。このままでは2010年にも完全に中性化するとみられ、4年連続で水質日本一を誇る湖が、赤潮やアオコの被害に見舞われる可能性が一段と強まっている。

 猪苗代湖の水質は長年pH5.0前後で安定していたが、1995年から毎年0.1程度上昇するようになり、05年にはpH6.4となった。県は2000年から中性化の原因を調べてきた。

 当初は、生活排水の流入で富栄養化が進んで水性植物が増え、アルカリ性イオンを放出する光合成が繰り返されたのが原因と推測された。しかし、富栄養化の目安となる化学的酸素要求量(COD)は中性化が始まった90年代にはまだ上昇していなかった。

 県は、安達太良山(1700メートル)の山頂付近に源流がある酸川(すかわ)のpHが90年代前半から上昇に転じたことに着目。酸川が合流し猪苗代湖に流れ込む長瀬川の成分を調べたところ、80年代前半に一日当たり約70トン流れていた硫酸が、03―06年には約60トンに減少していることが判明した。

 猪苗代湖が酸性を保つメカニズムとしては、水質を中性化するリンや窒素が、鉄イオンとアルミニウムイオンと反応して水に溶けず沈殿物となることが知られる。硫酸は、河川の石や地質に含まれる鉄とアルミニウムを溶かして猪苗代湖に供給する役割を担っており、県は硫酸量の減少が中性化の最大の原因とみる。

 県は、9月13日に郡山市で開く研究発表会で調査結果を発表する。
 県の試算によると、猪苗代湖は10年にpH7.0の中性となり、18年には弱アルカリ性のpH7.4となる見込み。環境省の水質調査で猪苗代湖は02―05年度、CODの平均値の低さで全国一を達成したが、黄色信号がともった形だ。

 猪苗代湖の水環境を研究している日大工学部(郡山市)の中村玄正教授(衛生工学)は「酸川の源流一帯で地質的な変化があり、硫酸が減ったとみられる。2万年前に現在の形になった猪苗代湖に変革期が到来した」と分析。「貴重な観光資源を失わないためにも、増えた水生植物を刈り取るなど、中性化を抑制する対策を考えなければならない」と指摘している。