海外旅行から帰国した時、日本の水のおいしさに安心感を覚える人は多いはず。しかし八郎潟町民は水問題に長年悩まされてきた。八郎湖に発生するアオコが原因だ。

 町の上水道は、八郎湖に注ぐ馬場目川を取水源としており、昨夏のように大量発生したアオコが川を遡上(そじょう)すると取水できなくなり、たちまち日常生活に影響を及ぼす。

 その解決策が町から示された。上水道高度浄水処理設備の導入。計画に関連する予算案が臨時議会で可決され、来年7月の完成を目指す。既存の浄水場の処理過程にオゾンと活性炭処理を加え、アオコ特有のカビ臭や色を取り除き、安全でおいしい水を供給できるという。水質浄化自体に異論はないだろう。だが、議会への説明不足で“消化不良”のままの導入となったのは残念だ。

 昨年の反省を踏まえ、町はアオコ発生前の6月、馬場目川河口などに遡上防止の特製オイルフェンスを設置。6月定例町議会ではアオコ対策をいくつか示した。そのうちの一つが今回の設備導入。試算による総事業費は約5億3000万円。

 議会に導入方針が示されたのは先月25日の全員協議会。31日の臨時議会では、整備費や水道料金、資料の数字の根拠などに質問が集中した。計画は時期尚早との指摘や、導入方針を明確に示してこなかった町の姿勢を問う声も上がった。果たして議員が納得した上での可決か、疑問は残る。

 気さくでストレートな物言い、さっぱりした町民気質。議論を尽くし、わだかまりは水に流せばいい。ただ、町はおいしい水を提供する前に、町民に設備導入を選択した理由、水道料金の見通しを十分説明する責任がある。