私達人間の正常細胞は、人為的に細胞培養で増殖させることができないという所に人間が人間でいられる所以があると思います。
細胞には原則として二つの能力が備わっています。一つは、自分自身の機能、即ち、肝細胞なら肝細胞としての様々な働きと、もう一つは、自分とまったく同じ細胞を1個作り出すことのできる能力です。正常の細胞はこの二つの能力を同時に発揮することはありません。そして、増殖する機能は普段は極めて厳重なカギのかかった扉の中に閉じ込められていて、複雑かつ厳密な細胞間の指令によってしかこの扉は開かれないのです。
【Yoshiのつぶやき】
細胞の二つの機能は、DNAの二つの機能に等しく、その一は、自己複製、もう一つはできた細胞が機能するためにタンパク質を作ること考えると判り易いと思います。(「あなたのなかのDNA」中村桂子 ハヤカワ文庫より)
そして、何かのきっかけで、この「カギ」が壊された細胞が何個か出現したとしても正常細胞がしっかりと周囲を固めていればあまり問題にはなりません。しかし、そこに、「カギ」の壊れた細胞が増殖していけるような状態、例えば、過労などにより生体側に病気にかかりやすい準備状態があると、この暴れ者細胞の果てしない増殖を許すきっかけになります。これが「発ガン」ということです。
(「からだのしくみと放射線」久保寺昭子 ユキ出版 より)
透過性のある放射線が細胞内のカギにぶつかってこれを壊すかもしれないからという配慮に基づいて、放射線の安全値を低くしているのですが、現在までに、放射線で発ガンに成功したという研究報告はないようです。
【Yoshiのつぶやき】
チェルノブイリ、広島、フクシマの事故後の報告でも、事故後にどんな病気が増えたかを示す調査はあるものの、病気は単独の原因で起きるものではないので、現在においても放射線のみが原因と決めつけるのは難しい状況であるように思えます。
細胞は、自らを守るために、細胞の中に必要なものは入れないような仕組みを、その膜の構造にもっています。むしろ、今日発ガン物質と言われているものは、最近日常生活の中に多く出現してきた脂溶性の物質です。この物質は、細胞の膜を平気で通過してしまい、その結果当然「カギ」に直接アタックしてしまうとも考えられます。もしも、ほんの少しの放射線でも、発ガンに影響するなら、太古の昔から、沢山の放射線の中で進化し、繁栄してきた私達人間の体を、どのように考えればよいのでしょうか。目に見えず、音もせず、五感に感じないからと言って放射線ばかり悪者にし過ぎているのではないでしょうか。私達人類が、地球上で放射線の中で暮らして来たということは、まぎれもない事実なのです。
