日本が世界に誇り、それで将来お金を稼げる技術の一つに原子力あると思う。原子力を学ぶ前に、知っておく必要のある事柄に放射線を知る必要があると考えた。「からだのしくみと放射線」を学ぶにあたって、いつだったか講演していただいた東京理科大薬学部の久保寺昭子先生のテキストを思い出した。ずいぶん前のテキストなので変わっている所もあるかもしれないまずは話を進めよう。

 

1. 

地球上のモノはみんな原子でできている





周期律

いきなりだけれど、周期律表だ。お馴染のものだけれど、地球上のすべての原子が買いてある。

ついでに、もう一つ。

 

原子 

原子のモデルだ。体の一部分に着目し、どんどん拡大していくと、これ以上分割できないものに行きつく。中性子と陽子からなる原子核の周りを、電子がくるくる回転している。太陽の周りを地球が回っているのと同じだ。だだ、ずーっと小さいことはご承知の通りだ。原子が2個で分子となる。

水素 

上の図は水素原子ですが、同じ水素ですが、重さの異なる3種類のあることが知られています。左より、軽水素、重水素、三重水素です。陽子が1個あり、その周りを電子がまわっています。中性子の数が異なり、そのまま軽水素、重水素、三重水素の重さとなります。「水素三兄弟」のうち、三重水素は生まれながらのホットな原子で、原子核から余分なエネルギーを放出して居心地のよい安定状態に変わっていきます。この性質を私達は「放射能」と呼び、このとき放出されるエネルギーを担った粒を「放射線」あるいは「原子力」と呼んでいます。

私達の体もすべて原子でできています。体重70㎏の人の体の組成のうち、一番多いのは、酸素で45.5kg, つぎが炭素で12kg,水素7kg, 窒素2.1kg, 以下、カルシウム、リン、イオウ、カリウム、ナトリウム、クロム、マグネシウム、・・・となっています。これらの原子には兄弟のあるものもあり、たとえば、体の0.35%を占めるカリウムのように、元気なカリウム40(40K)が必ず一定の割合(0.012%)で混在している原子もあります。体重約60kgの人の体の中のカリウム40からの放射能は、約7,000βq(ベクレル)ほどになります。
同位元素 


 
  


  

National Geographic April 2014より)

上の模式図は、ビッグバンから宇宙が始まる様子を示している。右の方に時間が進行している。ビッグバン直後は全て放射線の世界である。その後色々の素粒子が出来てくる。右半分を過ぎたところで、原子が出来た。黒丸の陽子の回りに電子の輪が見えるのは軽水素である。ヘリウムは陽子2個、中性子2個が原子核となり、2個の電子がそれぞれ回っている。さらに時間が進むと色々な分子が合成される。

この図で説明したいことの一つは、放射線はビッグバン直後の宇宙の状態で、その後時間を経て、原子や、化合物となって増減を繰り返し現在に至っている。地球は46億年前から放射線を浴び続ける環境の中にあり、我々生命も絶え間ない放射線の中で発生・成長してきました。

現在、地球上で知られている主な放射性物質は、炭素-11, 酸素-15, リン-32, カリウム-40, -59, コバルト-60, ニッケル-63, ストロンチウム-90, ヨウ素-131, セシウム-134, セシウム-137, ラジウム-226, ウラン-235,ウラン-238,プルトニウム-239です。

つまり、我々は日々これらの放射線の下で生活し、またその他に宇宙から飛んでくる放射線の下で生活しているのです。

 

以上、放射性同位元素の話をしてきましたが、まとめに変えて、放射性同位元素は、地球ができたとき、他の原子と同時にでき、今日に至っています。我々は生命の発生以来放射性同位元素からの放射線の下で生きてきました。

忘れてはいけないことをもう一つ、放射線とは、放射性同位元素から発する放射線のことです。放射線には、アルファ線、ベータ線、ガンマ線の3種あります。異なった放射性同位元素から発せられる放射線は、量は異なりますが、

アルファ線、ベータ線、ガンマ線の3種で、同じものです。