国債価格が下がった場合、金融機関は自己資本比率を維持しようとして、貸しはがしを行います。それが全国規模で行われると、企業の資金繰りは急激に悪化し、経済活動が鈍くなります。企業は減収減益に転じ、株式による配当も減少し、株価も下がる。日本経済に対する市場の信頼も薄れ円も売られて安くなる。債権・株・通貨のトリプル安です。円安により国債価格がさらに下がり、株価も下がっていく。

今日本人は、円安と聞くと大喜びで「成長チャンスだ株が上がるゾ」と思っています。しかし、今話しているような、国債が危機的な状態に至った場合、金融機関による貸しはがしが起こり経済活動の負の影響をあたえる。

米中はどうするか

日本は100兆円規模の国債を買っていますが、アメリカ政府は、ドル売りはともかく、国債売りは許さないでしょう。そんな中でアメリカ政府が気にすることは、日本発の金融危機が海外へ飛び火することでしょう。

ここ数年、ヨーロッパの銀行がアジアから撤退していますが、入れ違いに日本の銀行がどんどん進出しています。中国他東南アジア各国で貸出金が急激に増えている。

日本国債は90%を日本人が買っていますから、海外の金融機関に及ぶことはないと思います。

日本が外国に、国債の購入をお願いするか、緊急融資を要求する可能性はあるかもしれません。その場合、協力してくれそうなのは、アメリカか中国でしょう。

銀行はどうなるの?

国債の金利は、企業や個人の借り入れ金利に連動しているから中小企業の資金繰りにもすぐ影響する。

金融機関がお金を貸し出せるのは、自己資金をある程度持っているからです。自己資金は貸し倒れのバッファーなのです。

バブル崩壊後の日本では、不動産価格の下落によって、数百兆円分の価値が失われましたが、国債の場合は、金利が2%になると、100兆円近い損失が生まれます。

 

銀行が国有化されるとき

銀行の自己資金が減ったとき、まず貸し出しを減らし、融資したお金を返して貰います。何らかの原因で自己資本比率が4%から2%に減ったとします。そうすると銀行は事業規模をこれまでの半分に縮小しなければなりません。株主を増やせばいいのですが、そんな人が居なければどうにもならない。破綻寸前に政府が公的資金を注入することができますが、、極端な場合国有化になります。

 

スーパーインフレの始まりだ

第一次大戦で敗戦国のドイツは、ベルサイユ条約で1,320億マルクに上る莫大な補償金を科せられました。19147月に1米ドル=4.2金マルクだった為替レートはインフレの進行で19234月に1ドル=7,525アルウとなった。この時発行された超高額紙幣がレンテンマルクである。
レンテンマルク 
当時のパンの値段高騰の記録がある。
パン値段 
こんなことになったら大変だ。
(2014-12-4 Yoshi)