一番起こりそうなシナリオは、日本の経済収支が赤字になり、外国人投資家が国債をどんどん売りだしてしまうものです。日本の財政がひどいというレポートはすでに多くの信用調査機関が出しています。挌付け会社がそれまでシングルAかダブルAのマイナスぐらいだったのが3つぐらい挌さげされ、やがて「投資不適格」となります。

「これから先、日本の経常収支は赤字が続く」と信用調査機関が予測し、IMFの高官や欧米の財務大臣が「これから円安が続くはずだ」とコメントし、みんなが円を、国債を売りに出し、ドルを買う方向です。この時点で国債の金利が上がり始めます。危機の第一段階です。

 

現時点で金利は0.5%ですが、このシナリオ進行の過程で1%以上となり、2%ヘ向かって上昇していくイメージです。国債の金利が2%まで上がる前に、日銀の買い支えが始まるはずです。

 

 

しかし、相当な「売り圧力」がかかって来る筈です。「今売って、来年買い戻す」みたいな先物取引をやる連中の、大量の売り浴びせが起きる。

 

国債残 

日本では、戦後混乱期の1947年には、国債発行額が税収を上回り、それが戦後インフレの原因となったという反省から財政法が制定され、赤字国債の発行と日銀の赤字国債引き受けを禁止して、均衡財政主義を取ることとなっている。しかし、1965年、補正予算で赤字国債(2590億円)の発行が再開され翌1966年度予算では7300億円の建設国債が予定された。1990年にはバブル景気の税収増で一旦

発行額ゼロになるも、1994年にあ再開され今日に至っている。

 

危険な2・2・2

 

国債買い 

ここ10年の国債購入額だ。素人目にもおかしいよ。月給97万円の人が毎月180万円借金したら誰だってちょっと待てよと言うだろう。日銀は、2・2・2で国債を買うらしい。上のグラフで120兆円ほど買っていた国債を20154月までに2倍にするという。20134月にそう約束しています。20134月から20154月までの2年間で、マネーサプライを2にすることで、物価上昇率を2%にする政策目標です。

貨幣数量説というのがあります。

M X V = P X T

貨幣供給量をM 、貨幣流通速をV 、物価垂分をP 、取引回数をT とした時のそれぞれの間の関係式です。Mが増えれば、Pも増える。VやTはそう変化しないから、貨幣が増えれば価格も上がるというものです。

日銀黒田総裁の考えは、デフレでマネーの流通速度が低下しているので、貨幣量を2倍にしても物価は2%の上昇で済むだろうというものです。

物価が上がったら早く買わないとさらに上がるという市場心理が働き、貨幣の流通速度が上昇し、更に物価が高くなる。日銀は、流通速度が大きくなれば、貨幣を減らせばよいと考えている。国債を売って貨幣を回収するのです。ところで、国債の金利が2%になった時点で長期金利も上昇しているはずです。そのせいで国債価格は先行き値下がりを続けると皆が思い国債を買わなくなる。買い手がないので仕方なく日銀自ら国債を買い続ける。国債を刷るのは簡単ですが、減らす方法がありません。もし2%のインフレになったら、強力な財政再建なしには、出口は有りません。

(2014-11-30 Yoshi)