政府の活動にはお金が掛かります。公務員の給与、公共事業の工事代金などです。本来税金で支払うべきものですが足りない場合には国債を発行し、借金します。国家の債務証書が国債です。
国債には目的により何種類あり,
短期国債(6カ月、3カ月):年度内に消化する運転資金
中期国債(1年、2年、3年、5年):一番多い国債です
長期国債(10年):国債と言えば⒑年国債が標準です。
超長期国債(20年、30年、40年):30年、40年は道路や橋などの公共事業。
国債は政府が財政法に基づいて発行します。
1960年に、道路や橋は、建設後現物として残るのだから、借金して建設してもよいとの議論が起き、66年の当初予算から建設国債を発行したのですが、発端は65年(昭和40年)の大不況(40年不況)で、
道路や橋だけでなく、公務員の給与を支払うためいわゆる赤字国債を発行せざるを得なくなりました。
赤字国債は、財政法で禁止されているので、建設国債以外の国債を発行する際には、その都度「特例法」を発行する必要があります。
国債は日本政府が市場からお金を借りるわけだから、金利を支払う必要があります。実際の国債売買は入札方式で、例えば、「10年後に100万円を返します」という国債の入札を、政府が募ります。これに対して、銀行や証券会社が、「その条件なら90万円で買います」というふうに応札する。こうして利率が決まります。利率は市場が決めることになります。政府が信頼できれば、金利が低くても(儲けが少なくても)、銀行に預けても金利が無いのと同様だから、国債を買おうと思うわけです。
90万円で買うと、年間約1万円ずつ利子が付くのと同じなので、年1%ぐらいの利率になるわけです。
誰が国債を買うのか
国債の買い手は、銀行や証券会社といった、機関投資家です。一般企業や個人は、政府から直接国債を買うことはできず、金融機関にお金を預け、そのお金で金融機関が国債を購入し、資産として保有している形になります。この他個人向け国債というものもあり、募集期間内に金融機関等に申し込めば購入することができます。
国債を主に保有しているのは、銀行と生命保険会社です。
日本の国債の7% は外国人投資家が92%は国内の金融機関や投資家が持っています。
国債が紙屑になる
国債が満期になり保有者がその満期国債を政府に渡すと、政府が額面通りの日銀券に交換してくれる。これが国債の償還ということです。政府が借金を返すことができない状態をデフォルト(債務不履行)といいます。記憶に新しいところでは、1998年夏にロシアがデフォルトに陥っています。このロシア財政危機によってロシア国債に莫大な投資をしていた米国の大手ヘッジファンド、LTCMが倒産しました。LTCMが破綻すれば世界の金融システムが崩壊するという危機感が広がり、ニューヨーク連銀が主導して救済しました。
ロシア国債が危ないという心理が市場中に広がり、世界中の投資家達が満期になっていないロシア国債を売ろうとしました。しかし、当然のことながら買い手はつかず、国債は暴落しました。ロシア国債はこの時六分の一まで下落しましたが、ロシアは天然ガスや石炭などの資源が豊富なので、経済の基礎体力は強く、ルーブルが安くなると資源輸出が増え、しばらくしてロシア経済は持ち直しました。
第二次世界大戦後の日本は国債が紙屑になった例だと考えられます。敗戦直後、軍が発行していた軍票が価値を失いました。文字通り紙屑となりました。ただあれは国債ではなく通貨でしたからまた別の話です。日本の国債は保護されていて償還されましたが、戦後物価が何百倍という悪性インフレが起き、名目上、償還されましたが、実質的な価値はなく、紙屑同然となりました。
現在日本では毎年120兆円くらいの国債は償還されています。政府は国債の返還分120兆円と、予算と税収との差、30兆円から40兆円分の国債を新規発行しており、合計すれば、毎年160兆円の国債を発行していることになります。
現金(1万円札など)は、今約90兆円分が流通しています。民間の銀行が日銀に預けている当座預金もいつでも現金化できますので、それと原因と合わせたものをマネタリーベースと呼びます。マネタリーベースは日銀が金融政策で日々調整していますが、最近は約220兆円あります。2010年はこれが約100兆円でした。そこに100兆円の日銀券が新た注入されたら明らかにインフレになります。