天の岩戸のお話しです
そこで、速(ばや)須佐之男(すさのお)命(のみこと)が天照(あまてらす)大御神(おおみかみ)に話されたことは、「私の心は清く明るいので、私が生んだ子供は手弱女(たわやめ)を得るだろう。之によって申せば、おのずから私が勝ちました。」といって、勝さびに、天照(あまてらす)大御神(おおみかみ)の営田の畔を離れ、溝を埋め、新米をもらいうけた相手に尿を振りかけました。
これに対して天照(あまてらす)大御神(おおみかみ)は咎めることなく「屎(くそ)をしたのは酔って吐き散らかした。須佐之男(すさのお)命(のみこと)はあぜ道を分けて、溝を埋めたのは、土地が惜しかった。」と。悪いことを良いことに言い直されたけれども、なお、悪い行いは、ますます激しくなりました。天照(あまてらす)大御神(おおみかみ)は忌み清めた機織り場に座って、神に献上する御衣を織っていた時、機屋の棟に穴をあけて、天の斑(ぶち)馬(こま)を、尻の方から逆さまに皮を剥いて、落して入れたので、機織りをしていた女が機織りの梭(ひ)で女陰(ほと)をついて死んでしまいました。
01手弱女:優しい女性?
02勝さび:勝った証に?
4.天の石屋戸
天照(あまてらす)大御神(おおみかみ)は恐れ多くも天の石屋(いわや)戸(と)を開いて、 刺許母(こも)理(り)になりました。そのため高天の
原が皆暗く、葦原(あしはら)中国(なかつくに)悉くに暗くなりました。これによって夜だけになりました。ここによろずの神々の声は五月のハエのように騒ぎ、よろずの災いが起こりました。それで八百万(やおよろず)の神が天安(あめやす)の河原(かわら)に神集(かみつど)い集いて高(たか)御産(みむ)巣(す)日(ひの)神(かみ)の子、思(おも)金(かねの)神(かみ)に思わしめて常世(とこよ)の長鳴鳥を集めて鳴かしめて天安河の河上の天の堅石を取り、天の金山の鉄(まがね)を取って、鉄人(かぬち)天津麻羅を求めて伊斯許理度賣(いしこりどめの)命(みこと)に科(おほ)せて鏡を作らせて、玉(たま)祖(のやの)命(みこと)に科(おほ)せて八尺(やさか)の勾璁(まがたま)の五百津(いほづ)の御須(みす)麻流(まる)の珠を作らせて、天児屋(あめのこやねの)命(みこと)、布(ふ)刀(と)玉(だまの)命(みこと)を召して、天の香山の真(ま)男鹿(おしか)の肩を内抜き、天の香山の天の波波迦(ははか)をとって占い、麻迦那波(まかなは)しめて、天の香山の五百津(いほづ)真(ま)賢(さか)木(き)を根(ね)から抜いて上枝に八尺(やさか)の勾璁(まがたま)の五百津(いほづ)の御須(みす)麻流(まる)の珠を取りつけ、中枝に八尺(やた)鏡を取り繋(か)け、下枝に白い木綿、青い麻布を垂(た)たらして、このいろいろのものを布(ふ)刀(と)玉(だまの)命(みこと)が、お供え物ともって、天児屋(あめのこやねの)命(みこと)が祝詞を唱えて、天手(あめのた)力男(じからをの)神(みこと)が、戸の脇に隠れ立って、天宇受(あめのうず)賣(めの)命(みこと)、 天の香山の天の日影を襷(たすき)に繋(か)けて、天の真(ま)折(さき)を葛として、天の香山の小竹葉(ささば)を手(た)草(ぐさ)に結って、天の石屋戸に空筒を覆せて踏み轟かし、神がかりして胸の乳をあらわにし、裳の紐を陰部まで押し下げて垂らした。ここに、高天の原動(ど)よみ、八百万の神々がともに笑いました。
是(ここ)に天照大御神、怪しいと思って、天の石屋戸を細めに開いて、内より、「私が隠(こも)り座(ま)すことで、天の原自(おのずか)ら闇(くら)く、また葦原(あしはら)中国(なかつくに)もみな闇(くら)いだろうと思うのに何ゆえに天宇受(あめのうず)賣(めの)命(みこと)は楽(あそび)をし、また八百万の神も諸(もろもろ)笑っているのか。」と仰った。ここに天宇受(あめのうず)賣(めの)命(みこと)は、「汝(いまし)命(みこと)にまして貴い神がいます。それゆえ喜び、笑い、楽(あそ)んでいるのです。」と。このように言っている間に天児屋命、布刀玉命、その鏡を指し出して、天照大御神に示(み)せ奉(まつ)る時、天照大御神、いよいよ奇しいと思はして、やや戸より出て臨み坐(ま)す時に、その隠り立てりし、天手力男命、その御手をとりて引き出す即ち、布刀玉命、尻久米縄を其の後方に引き渡して言ったことは「これより内に入らないでください。」と。天照大御神が出て来られたところ天の原も葦原(あしはら)中国(なかつくに)も自(おのずか)ら照り明るくなりました。
ここに八百万の神共に議(はか)って、速須佐之男命に千位(ちくら)の置戸を負(おほ)せ、また髭を切り、手足の爪も抜かせて追放した。

(地図と写真から見る古事記・日本書紀より)
高千穂に天安河原という所があり、天岩戸があります。
01刺許母理:こもる
02思(おも)金(かねの)神(かみ):思兼神、多くの思慮を兼ね持つ神
03天の堅石:鏡を打つ石台
04伊斯許理度賣(いしこりどめの)命(みこと):鏡を作る
05玉(たま)祖(のやの)命(みこと):勾玉を作る
06天児屋(あめのこやねの)命(みこと)、07布(ふ)刀(と)玉(だまの)命(みこと)を呼んで占いのための鹿の骨を打ち抜かせ
08波波迦:桜の木皮
08麻迦那波しめて:麻縄をしめて
09天手(あめのた)力男(じからをの)神(みこと):力の強い神
10天宇受(あめのうず)賣(めの)命(みこと):あめのうずめの命、力の強い女神
11天の火影:こけ
12千位(ちくら)の置戸:沢山のお供え
本日はここまでとしましょう。
そこで、速(ばや)須佐之男(すさのお)命(のみこと)が天照(あまてらす)大御神(おおみかみ)に話されたことは、「私の心は清く明るいので、私が生んだ子供は手弱女(たわやめ)を得るだろう。之によって申せば、おのずから私が勝ちました。」といって、勝さびに、天照(あまてらす)大御神(おおみかみ)の営田の畔を離れ、溝を埋め、新米をもらいうけた相手に尿を振りかけました。
これに対して天照(あまてらす)大御神(おおみかみ)は咎めることなく「屎(くそ)をしたのは酔って吐き散らかした。須佐之男(すさのお)命(のみこと)はあぜ道を分けて、溝を埋めたのは、土地が惜しかった。」と。悪いことを良いことに言い直されたけれども、なお、悪い行いは、ますます激しくなりました。天照(あまてらす)大御神(おおみかみ)は忌み清めた機織り場に座って、神に献上する御衣を織っていた時、機屋の棟に穴をあけて、天の斑(ぶち)馬(こま)を、尻の方から逆さまに皮を剥いて、落して入れたので、機織りをしていた女が機織りの梭(ひ)で女陰(ほと)をついて死んでしまいました。
01手弱女:優しい女性?
02勝さび:勝った証に?
4.天の石屋戸
天照(あまてらす)大御神(おおみかみ)は恐れ多くも天の石屋(いわや)戸(と)を開いて、 刺許母(こも)理(り)になりました。そのため高天の
原が皆暗く、葦原(あしはら)中国(なかつくに)悉くに暗くなりました。これによって夜だけになりました。ここによろずの神々の声は五月のハエのように騒ぎ、よろずの災いが起こりました。それで八百万(やおよろず)の神が天安(あめやす)の河原(かわら)に神集(かみつど)い集いて高(たか)御産(みむ)巣(す)日(ひの)神(かみ)の子、思(おも)金(かねの)神(かみ)に思わしめて常世(とこよ)の長鳴鳥を集めて鳴かしめて天安河の河上の天の堅石を取り、天の金山の鉄(まがね)を取って、鉄人(かぬち)天津麻羅を求めて伊斯許理度賣(いしこりどめの)命(みこと)に科(おほ)せて鏡を作らせて、玉(たま)祖(のやの)命(みこと)に科(おほ)せて八尺(やさか)の勾璁(まがたま)の五百津(いほづ)の御須(みす)麻流(まる)の珠を作らせて、天児屋(あめのこやねの)命(みこと)、布(ふ)刀(と)玉(だまの)命(みこと)を召して、天の香山の真(ま)男鹿(おしか)の肩を内抜き、天の香山の天の波波迦(ははか)をとって占い、麻迦那波(まかなは)しめて、天の香山の五百津(いほづ)真(ま)賢(さか)木(き)を根(ね)から抜いて上枝に八尺(やさか)の勾璁(まがたま)の五百津(いほづ)の御須(みす)麻流(まる)の珠を取りつけ、中枝に八尺(やた)鏡を取り繋(か)け、下枝に白い木綿、青い麻布を垂(た)たらして、このいろいろのものを布(ふ)刀(と)玉(だまの)命(みこと)が、お供え物ともって、天児屋(あめのこやねの)命(みこと)が祝詞を唱えて、天手(あめのた)力男(じからをの)神(みこと)が、戸の脇に隠れ立って、天宇受(あめのうず)賣(めの)命(みこと)、 天の香山の天の日影を襷(たすき)に繋(か)けて、天の真(ま)折(さき)を葛として、天の香山の小竹葉(ささば)を手(た)草(ぐさ)に結って、天の石屋戸に空筒を覆せて踏み轟かし、神がかりして胸の乳をあらわにし、裳の紐を陰部まで押し下げて垂らした。ここに、高天の原動(ど)よみ、八百万の神々がともに笑いました。
是(ここ)に天照大御神、怪しいと思って、天の石屋戸を細めに開いて、内より、「私が隠(こも)り座(ま)すことで、天の原自(おのずか)ら闇(くら)く、また葦原(あしはら)中国(なかつくに)もみな闇(くら)いだろうと思うのに何ゆえに天宇受(あめのうず)賣(めの)命(みこと)は楽(あそび)をし、また八百万の神も諸(もろもろ)笑っているのか。」と仰った。ここに天宇受(あめのうず)賣(めの)命(みこと)は、「汝(いまし)命(みこと)にまして貴い神がいます。それゆえ喜び、笑い、楽(あそ)んでいるのです。」と。このように言っている間に天児屋命、布刀玉命、その鏡を指し出して、天照大御神に示(み)せ奉(まつ)る時、天照大御神、いよいよ奇しいと思はして、やや戸より出て臨み坐(ま)す時に、その隠り立てりし、天手力男命、その御手をとりて引き出す即ち、布刀玉命、尻久米縄を其の後方に引き渡して言ったことは「これより内に入らないでください。」と。天照大御神が出て来られたところ天の原も葦原(あしはら)中国(なかつくに)も自(おのずか)ら照り明るくなりました。
ここに八百万の神共に議(はか)って、速須佐之男命に千位(ちくら)の置戸を負(おほ)せ、また髭を切り、手足の爪も抜かせて追放した。

(地図と写真から見る古事記・日本書紀より)
高千穂に天安河原という所があり、天岩戸があります。
01刺許母理:こもる
02思(おも)金(かねの)神(かみ):思兼神、多くの思慮を兼ね持つ神
03天の堅石:鏡を打つ石台
04伊斯許理度賣(いしこりどめの)命(みこと):鏡を作る
05玉(たま)祖(のやの)命(みこと):勾玉を作る
06天児屋(あめのこやねの)命(みこと)、07布(ふ)刀(と)玉(だまの)命(みこと)を呼んで占いのための鹿の骨を打ち抜かせ
08波波迦:桜の木皮
08麻迦那波しめて:麻縄をしめて
09天手(あめのた)力男(じからをの)神(みこと):力の強い神
10天宇受(あめのうず)賣(めの)命(みこと):あめのうずめの命、力の強い女神
11天の火影:こけ
12千位(ちくら)の置戸:沢山のお供え
本日はここまでとしましょう。