超ひも理論に戻ろう。繰り返しになるけれど、思い起こして欲しい。「ひも理論にはもう1つ、普通でない特徴が備わっています。ひも理論は時空が通常の4次元でなく10次元である場合に限り整合的なのです。」のところだ。

10次元というのはどんなもの? 考えてみれば、キャッチャーとピッチャアーとの距離を測るにはメジャーを使えば良く、90mといった具合だが、地球儀で日本の位置を図るには東経135°、北緯45°のように、2つの数字が必要である。日本の空を飛んでいる時には、高度 10,000mが加わり3つの数字が必要になる。東京とアメリカで話していると時差があるから、940のように時間が加わって4つの数字が必要になる。

これらの数字がそのまま次元ということで、4次元まではよく分かるけれど5次元以上になると、何のことだかよく分からない。

ホーキングの本を読んでも結果は同じだし、事実彼自身もそのように書いている。

敢えて探すと、先のストローの話であるが、何を検討するかで必要な次元が決まってくるというのは冒頭に話と同じである。量子力学で宇宙を解き、同じ理論で原子核を解くため方程式を立てると、10次元必要である。10次元にすると、式の途中で分子が0とをなり、無限大で解決無しになるころがなくなるので、104=6次元を余剰次元として学者各々が各自で6次元に対応する数を当て,方程式を解くということのようだ。10次元もあると複雑で式が解けないので余剰6次元を1つに丸め込むことを考えるのだが、各人各様で纏まらないのが現状のようである。

 そうした状況下の1994年頃、双対性が発見され始めました。双対性によれば異なるひも理論や異なる余剰次元の丸め込み方というのは、単に4次元の同じ現象を記述する異なる方法にすぎません、

 ところで、ひも理論の草分けは、1930年頃、湯川秀樹が点状粒子から「広がった素粒子像」という発想への転換したものを、朝永らによって提案された「繰り込み」理論によって取って替わられていたが、重力にお量子学を考える際に解決法を見出すことができず停滞していた中、「超ひも理論」として再登場となったものである。

 直近の小林・益川理論のノーベル賞受賞は理論物理の分野でなお存在感を発揮するわが国の実力と思うけれど、若者諸氏にここから学問の楽しさを学んでいただければ良いと思うのだが。ちょっと年を取ったかな。

 より基本的な理論はM理論と呼ばれます。それは11次元の理論であって、10次元ではありません。M理論は振動する「ひも」だけでなく、点粒子や2次元の膜、3次元の塊、そしてもっと描写するのが難しい物体や9次元まで可能な高次元の物体も含んでいます。これらの物体は「pプレーン」と呼ばれています。

 M理論の法則というのは、内部空間がどのように丸め込まれているかに依存して、異なる見かけの法則を持った「異なる宇宙」の存在を許容しています。M理論は多くの、おそらくは10500個もの異なる内部空間が許される解を持っていますが、それが意味しているのは、M理論では10500個もの異なる宇宙が存在しえて、そのおのおのが独自の法則を持っているということです。

 それでは私たちはどこにたどり着いたのでしょうか? もしM理論が10500個もの見かけの法則を許容するのであれば、私たちはどのようにして、私たちには明確な法則を持ったこの宇宙に行き着いたのでしょうか? そして、他の可能な世界についてはどうなのでしょうか?

(2014-1-10 Yoshi)